ペンペン草


「過去からの手紙」
「差出人=2015年6月3日のGOOD1」

July. 3rd, 2025


老夫婦二人暮らしの我が家に封書が来た。

差出人は我が家の長男
2015年6月3日のGOOD1(本物は実名)

宛名は我々老夫婦の連名になっている。さて、何だろう?
そもそも、我が家の息子殿からの手紙は 社会人になる際に手渡しで貰って以来、プレゼントに添えられたカード以外では初めてかも知れない。
そんなこともあって、家内の帰りを待ちきれず開封した。

今は2015年6月3日です。明治村と云うところに来て

十年後へ手紙が書けるというので書いています
そう云う注釈のような書き出しで まさに過去から今(未来)に向けての手紙でした。 これまで テレビドラマなどで 話には聞いた事は有りましたが「本物」は初めてだったので、内容に拘わらず まず感動しました。
早速 差出人本人にも連絡しましたが、本人もすっかり忘れていた様子で、私共同様の感動が有った様子でした。
内容は 我々への健康の気遣いの後 現在を予測するものでしたが「未来予想図U」の如く希望通りでしたので、感激喜びも一入ひとしおでした。

でも「差出人受取人の一方または双方が不幸な側に変化していた場合はどうなのだろうか」と云う疑問が沸いてきました。
それが 自分だったら 少々の不幸な結果なら勿論 最悪の事態だったとしても、この十年後の手紙をきっかけに、差出人成り 受取人成りに 思いを寄せる良い機会になって、 やはりこのサービスに感謝をしたのではないだろうか?と。なぜなら『その結果』は手紙の有無とは全く関係ない事実なのですから。

郵便の利用頻度が落ちて、転居の可能性が低い実家ですら同じ場所に存在しづらい昨今、このサービスも 利用時には『良さ』が なかなか理解されにくいかも知れない。 きっと出すときは大した期待もないまま、ごく軽いノリで利用したのかもしれませんね。一般的にもそんなものでしょう。
果たして・・・ 答えが出そろっている10年後に感激するで有ろう事はほぼ間違いないと確信します。
「未来への手紙」を書く時点では誰も十年後の未来はわかりません。それに対して「過去からの手紙」つまり受け取る時点では良し悪しは別として、 すべてについて結果が出ております。10年後であれば悪い結果も受け入れられるし、ワクワクしませんか?

此度の事でデジタルの危うさに気づいてしまった

携帯電話番号やE-Mailって寿命短すぎでしょ?
既にお気づきの方も多いと思うが、電子データーの欠点は紙のデータのように、誰もが直に次々見るという事ができない。 逆に紙媒体の優れた点は何も介さないで直接誰もが見える事。電子データと違って一瞬で失う事がほとんどない事だ。
例えば写真もアルバムに整理され そのアルバムを作った本人が亡くなっても、昔なら手元にそのまま残っていた。 それがアルバムでなくても箱にバラでも残っていた。
今は下手をするとアルバム作成者ですら置き場を忘れ「日の目を見ない」写真がゴロゴロしているはずだ。 しかもその写真は記憶媒体が壊れればもちろんの事 壊れなくても接続デバイスが壊れると一緒に捨てられたりする。

ここ数年「年賀状卒業」の連絡をたくさん頂くようになった。「人と人とのつながりが希薄になった」と言ってしまえば それまでだし、それがどうした?と言われればそれもまた それまでなのだが・・・。
大切なのはE-Mailは年賀状の役割は果たさないという事。 年賀状には多くの場合 家電話や住所が記載されている。それが実家なら最強だ。
数年前高校時代の友人に50‐60年ぶりに電話したことがあった。実家に電話すればとりあえずつながる。運よくそのまま実家を引き継いでいた。 実家が引っ越していなければ 手紙も届く。
此度の過去からの手紙も実家住所が現存するからこそ なせる業なのだ。

最近は「個人情報保護」とやらで名簿もろくに作らない学校が多いと聞く。 卒業生の交流などいったん「縁」を失ったら二度と戻れない。どうするつもりなのだろう。
E-mailも在籍期間でも変わる可能性が高い。何よりも基本的にメールアカウントを一瞬たりとも失えば過去のすべてのデータを失う。 携帯電話番号もMobile Number Portability があっても、実家の固定電話の安定性にはかなわない。

例えば全人生が20年の若者にとっては『今』こそが、人生の全てであり、これまでの学校でのつながりなど大した興味がない。 だから余程の仲間内以外は電話番号もメールも ましてや住所の交換をしない。
此度の過去からの手紙で言えば出す側の人の立場が若者だ。だから、将来連絡を取りたくなるなどと夢にも思っていない。
将来の為にも、同級生などの多くの情報を集めておくことだ。年賀状などのやり取りをして、 それに基づいた名簿を毎年更新 時折プリントアウトして置くことだ。そうすれば疎遠になっている人の分もどこかにデータが残る。 10年後 20年後 そのデータはきっと役に立つ。


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