良一君の卒業式、答辞全文

卒業の決意



 春のやわらかな日差しが暖かい今日この頃です。
 新しい季節の訪れと共に、私たち卒業生118人にも旅立ちの日がやってきました。

 附属新潟中学校で過ごした3年間を思い返してみると、長かったようでとても短く、 しかしとても充実したものだったと感じています。
 入学式では、先輩方の美しく威厳のある「大地讃頌」と迫力のある応援に迎えられました。
 「中学生になったのだ。」という気持ちが沸いてきて、これからの中学校生活への希望で胸がいっぱいになりました。

 入学してまだ右も左もわからないうちに、体育祭の活動が始まりました。
 1年生のころは、まだ先輩の背中ばかり追いかけていましたが、先輩の体育祭にかける情熱や団結することの大切さ、そして何より体育祭の楽しさを教わりました。
 そんな先輩の意志を受け継ぎ、今年度の体育祭では「個性の尊重・発見・認め合い」を大切にし、当日はみんなもてる力すべてを発揮して輝いていました。

 1年生の2月にはスキー教室がありました。初めての宿泊を伴う行事ということで、事前準備は慎重かつ綿密に行いました。
 当日は3日間とも素晴らしい天気で、スキー技術が格段に向上しました。
 また寝食を共にしたことで、仲間の新たな一面を発見することができ、友情もさらに深まり、とても楽しいスキー教室でした。

 2年生のときには、附属新潟中学校最大の行事である「旅」があり、私たちは沖縄へ行きました。
 かつて、沖縄は「日本であり日本でない」といわれているように、私たちが普段生活している新潟とは様々な相違点があります。
 そこに注目し、沖縄独特の文化について追求活動を進めていきました。
 当日は壕に入ったり、ひめゆり学徒だった宮良ルリさんから戦争当時の体験をお聞きしたり、カヌー体験をしたり、実際にさとうきびをとったりと、たくさんの貴重な体験をしました。
 中には「バスに乗るときには手を挙げないと止まらない」など、今までの常識が通用しないこともありとても苦労しました。
 しかし現地のたくさんの方に親切にしていただいたおかげで様々な困難も乗り越えることができました。
 沖縄の旅で得たものは1人1人違うと思いますが、沖縄の文化や人とのふれあいの中で大切なことを学んだのは確かです。

 私たちが在籍している間に一番変化したことは、言うまでもなく「服装が自由になったこと」です。
 これは私たちが1年生のときに行われていた50周年活動のひとつの結果といえます。
 「私たちにとって制服とは?」という問いから始まった服装の活動は、一昨年度から何回も話し合いを重ね、「附中生にとって服装のきまりは必要なのか。
 本当に必要なのは外見の統一よりも内面の統一なのではないか。」という方向に向かっていったのです。
 そして長い検討の末、「服装の自由化」が実現し、自己の判断と責任にゆだねられる部分が多くなりました。

 しかし、ここで在校生のみなさんに忘れないでほしいことがあります。
 それは「何のために自由になったのか」ということです。
 服装の自由化が施行されて、まだ1年と少し、今後どのような問題が起きるかわかりませんが、そのときは、自由になった本来の意味をよく考えて服装のきまりをつくり、よりよい日常生活を形成していってください。
 そしてその受け継いだ精神こそが、附中の伝統〜自主独立・協同〜の姿となるのです。
 卒業生全員が今後のみなさんの活動に期待を寄せています。

 卒業のときを迎え、これまで多くの人に支えられてきたからこそ様々な活動が成功してきたのだということを改めて感じています。
 一緒に活動してきた仲間や先輩・後輩はもちろんのこと、毎日の授業や行事活動でたくさんの助言をしてくださった先生方、1番身近なところで日々の成長を温かい目で見守ってくれた家族には本当に感謝しています。ありがとうございました。

 これから21世紀にむけて、価値観の異なる様々な人といかに認め合って生きていけるかがますます重要になっていくと思います。
 これは難しいことですが、附属新潟中学校で学んだことの中には、そんな社会にも対応するためのたくさんのヒントがあったように思います。
 卒業生一人一人の胸の中に「自主独立・協同」の本当の意味が刻み込まれ、必要に応じて心の扉をノックすることでしょう。

 サザンオールスターズのTSUNAMIという曲の中に、こんなフレーズがあります。
「泣き出しそうな空眺めて、波に漂うかもめ。きっと世は情け、OH SWEET MEMORY.旅立ちを胸に。」

 今の私達はまさに「かもめ」です。不況の中、自分の夢さえ見失ってしまいそうな社会を、私達は「中学校」という波の上から不安そうに見ています。
 しかし、時間は私達を待ってはくれません。もう旅立ちの日です。広い広い社会へと白い羽を伸ばすときです。
 時には壁にぶつかり、涙するときもあるかもしれません。そんな時は附中での経験を信じて、様々な試練に立ち向かっていこうと思います。
 20世紀最後の卒業生として附属新潟中学校で学んだという誇りを胸に、自分が選んだ道を力強く進んでいきます。

 平成12年3月8日 新潟大学教育人間科学部附属新潟中学校
 

                          第52回卒業生代表 良一

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